>>645
おもろい話を披露してくれてる二宮へ 拙いものだが
なにかお礼がしたかったんだ(・∀・)
>>652 ありがとうね。 本当に嬉しいよ!

651 名前:二宮 ◆htHkuunP2I[] 投稿日:2008/06/25(水) 18:46:32.32 ID:KQ5xjk6o
会社への帰り道、俺は片桐さんに抗議をした。
今こんな仕事を受けてしまえば、旅日記もモーニングステーションも
共倒れする可能性がある。
しかもモーニングステーションも長尺物だ。
俺は長尺物を作った経験がない。
だから旅日記で、それを経験するつもりであった。
しかもモーニングステーションは新番組である。
新人の俺が手を出すような番組ではない。
「片桐さん。俺できませんよ!旅日記のDもするんです。来月は」
片桐さんは少し困った顔をしたが
「でも仕方ないだろ。ああなった以上は。旅日記は断れよ」
このオッサン、自分のことしか考えてないよ!
今さら白井の仕事を断れるはずが無い。
元々向こうの仕事が先なのである。
白井さんだって、俺のためにその週のディレクターは空けてくれているのだ。
コイツでは話にならん。
表向きは松井さんが、制作スタッフの割り振りを担当しているのである。
(現実はPがDに声を掛けて、引き抜き合戦が横行している)
俺と松井さんと片桐さんで話し合いが開始された。
しかし松井さんも俺の話に、うんうんと頷くものの
「こうなったら二宮にやってもらうしかないですよ。
向こうの局Pも局Dもその気になっているし。
いまさら1回目は他のDで!というワケにはいきません」
この片桐さんの話に押され気味である。
なぜここに白井さんがいないんだ。
それもおかしいじゃないか!?
松井さんが決断が下さした。
「モーニングステーションは、手の空いている先輩が手伝うということで。
でもメインディレクターは二宮くんで行こう。」
ちょっとふざけるなよ!
そんな男気のある先輩がこの社内のどこにいる?
結局松井さんは、面倒な話をサッサと片付けたいだけなのだ。
話し合いはそれで終了した。
もし1つでも仕事がズレ込めば・・・。
これは大変なことになる・・・。
俺はそれを想像して少し震えた。
それから数日後、おふくろから電話があった。
「お正月は帰ってくるのかい?」
そうか正月休みか・・・。
いまの俺には休みなど頭になかった。
「うん。仕事忙しいから・・・。まだなんとも言えないよ・・・。」
「そうかい・・・。体は壊してないかい?」
おふくろは明らかにガッカリした様子だ。
引越し以来、実家には帰っていない。
やっぱりここは実家に帰って、親孝行をするべき時なのかもしれない。
「体は大丈夫だよ。やっぱり正月なんとかそっちに帰るよ。」
「そうかい。それじゃ美味しいおせち作らないとね~。」
おふくろの声が一気に明るくなった。
おふくろはやっぱり俺の顔が見たいんだ。
俺だっておふくろの顔は見たい。
「もしかしたら行けない可能性もあるから、あんまり期待しないでね。」
そう言って電話を切った。
盆暮れなんて就く職によっては出勤日だよな
更に仕事のスケジュールをタイトにする必要がある。
当時の俺のスケジュールは
パブの台本→モーニングステーションのネタ探し→パブのロケ
→モーニングステーションの企画書作成→旅日記の今までのO.Aプレビュー
→川田さんのAD→旅日記の企画書作成→パブのオフライン編集。
このように色々な業務が重なりあって
なにがなんだか分からない状態であった。
隙を見つけては、別の仕事を詰め込み
また隙を見つけては、別の仕事を詰め込む。
こんな状態であった。
まさに八方塞がりである。
まるで今の宮崎県知事のような生活だ。
スケジュールは分単位である。1分も無駄にはできない。
しかし俺には、彼のようにスケジュールを管理してくれる人間はいない。
スケジュール管理も全て自分で行う。
当然寝ている時間は無い。
3日徹夜して3時間寝るような暮らしであった。
そして案の定、モーニングステーションを手伝ってくれる先輩などいなかった。
みんな自分の仕事で手一杯である。
それでなくても、新番組の1本目などという責任重大な仕事に
自ら関わってくる人間などいない。
新人の俺が、先輩を捕まえて「手伝って下さい」など、とても言えない。
俺は自分のデスクで寝てしまうこともあった。
さすがに誰も起こそうとはしない。
居眠りを注意させないオーラも、俺の体から出まくっていた。
もしそれを注意しようものなら
「んじゃテメーがやってみろ!」くらいは言い出しそうな雰囲気があったと思う。
もうね、あほかと…
周りが無責任過ぎだよな。今の日本を象徴してる
と、応援したくなるよな。
過去の話なのに。
俺も若い頃は無理してたからなぁ。
8:00~26:00の仕事を激務だと思ってた俺は
甘ちゃんだったのか・・・
その日も俺はデスクに突っ伏していた。
しかし寝てはいなかった。意識はある。
そんな時、旅日記のプロデューサーである、白井さんが声を掛けてきた。
「二宮くん大丈夫?随分大変そうだけど」
俺は姿勢を正した。
この人の前では、あまり疲れた姿を見せるわけにはいかない。
俺をディレクターに選んだことを不安にさせてしまう。
「はい。大丈夫です」
嘘だ。全然大丈夫ではない。
「旅日記・・・出来る?」
この仕事を下りるか?と聞いているのだ。
これが最後の蜘蛛の糸だ。
この糸を切れば、俺はカンダタになってしまうかもしれない。
初めての長尺物。
しかもそれが2本。
更に1本は新番組。
精神的な重圧だけでもハンパでは無い。
逃げたい・・・。
どうしよう・・・。
1秒間考えたあと
「出来ます。大丈夫です」
俺はそう答えていた。
ここで現在の状況をちゃんと報告しないのは社会人としてどうかと思う
当時の二宮は一年目だろ
完璧な社会人像を求めるのは酷じゃね?
それを別番組のために断ることが、俺にはどうしても出来なかった。
それに白井さんは、新人の俺に初めて長尺物を任せてくれた人だ。
その期待に応えたい。
「そう・・・。それじゃよろしくね。」
そう言って白井さんは消えた。
なんとかなるさ・・・。
このままのペースでやっていけば・・・。
なんとかなるさ・・・。
その夜も俺は、社内で企画書を書いていた。
すると携帯が光った。
メールだ。
差出人はまりあであった。
そういえば、何日まりあに会っていないだろう?
もう正確には思い出せない。
最後にメールを返したが、いつかも思い出せない。
完全に日にちの感覚は奪われていた。
「30日にぢっかにかぇります。。。それまでにぁぇますか??」
顔文字が無い。
まりあの心情が逆によく分かった。
悪いこと何もしてないのに(´;ω;`)
くる気がするのは俺だけ?
というよりもまとめて来なかった不幸はあんまり覚えてないだけな気がする
仕事も同じ希ガス
集まるときはぎゅう詰め ないときゃからっきしだよな
初期の自宅待機してた頃が嘘のようだな
会うとすれば明日の夜しかない。
いまこの状況で、まりあに会う時間を割くのは危険だ。
その時間があれば、少しでも仕事が進められる。
正月には実家に帰る予定だし、仕事を進めなければ・・・。
しかし俺は
「明日の夜まりあの部屋に行きます」と
返信した。
俺はまりあが大好きなんだ。
本当に大好きなんだ。
彼女を大事にするって誓ったんだ。
仕事なんてまた徹夜で取り戻せばいい。
まりあから返信がきた。
「o(^-^o)(o^-^)o ヤッター♪まってるね☆⌒(*^∇゜)v ヴイッ」
俺はそのメールを見て少し幸せな気持ちになった。
まりあがいるから俺は頑張れるんだ・・・。
そして俺は企画書の続きに取り掛かった。
ちくしょう、まりあ可愛いじゃないかww
あーあ・・・ww
>>704
どうだろう?実際毎日会っているわけだから
(志村以外)俺が丁寧に書けば、いくらでも登場するよ。
ただそこまで丁寧な描写をするかは
今のところ分からないなぁ
(といってもメドがたっただけで、なにも片付いてはいない)会社を出た。
時間はすでに22時30分になっていた。
十数時間ぶりに外気に触れた。
ひんやりとした風がやけに心地よかった。
電車に乗る。そのことすら少し懐かしい。
これじゃ定期も無駄だよな・・・。
ボーッとそんなことを考える。
電車の中では眠った。
たった3駅だが、今はその時間すら貴重である。
いま眠ると起きる自信がない。
携帯にタイマーをセットした。
駅に着いてマンションまでの道のりを歩く。
初デートをした川が見えてきた。
しばらく川を見つめながら、初デートを思い出した。
暖かくなったら、またここでデートをしような・・・。
その時には、きっと仕事もヒマになっているはずだよ・・・。
俺は心の中でまりあに話し掛けていた。
マンションに到着してエレベーターに乗り込む。
3Fのボタンを押してフーッと息をつく。
やっと帰ってこれたよ・・・。
俺は302号のインターホンを押した。
「はい!」まりあの声は既に明るい。
「俺です。光輝です。」
すぐにドアが開いた。
そこには俺が大好きなまりあがいた。
俺はギュッと胸が締め付けれる思いがした。
初めてここでまりあに会った時を思いだしていた。
「おかえり・・・。光輝くん・・・。」
まりあの目が潤んでいた。
こめんね。
今までほったらかしにして。
こんなにもまりあが大好きなのに・・・。
「ただいま。まりあ」
俺がそう言った瞬間、まりあが抱き付いてきた。
油田・・・。頼むから今だけは部屋から出てくるなよ。
結果的にいうと会社からの制裁は無かった。
Pを初め制作陣営の働きはハンパでなかったと思う。
そのお陰で再撮影で無事O.Aはできた。
でも二重ギャラの発生や、渡辺の精神状態を考えると
「無事」であったとは言えないかもなぁ。
そのことをちゃんと書かないと渡辺のくだり云々は全部いらねーんじゃね?
まりあに勘違いさせる伏線だと思ってた
勘違いしてるかどうかは今の流れじゃわからんが
こんな辛いことを思い出して文章に起こしていけることがすごいなって素直に思うよ
今年は一緒に年越しができない。
それで少し早い、年越しそばを用意してくれた。
まりあはご機嫌でだった。
そんなに俺と一緒にいるのが嬉しいのか?
こんな俺みたいなヤツでも・・・。
「元日と2日は俺も実家に帰るね」
まりあにはまだ言っていなかった。
「そっかぁ!親孝行しないとね!」
当然まりあも俺が片親なのを知っている。
そして俺がおふくろを大事にしていることも知っている。
まりあはそんな俺の気持ちを大切にしてくれた。
そばを食べ終えた俺は
まりあが食器を片付けている間に、つい眠ってしまった。
ダメだと思っても、気がつけば眠っていたのである。
そばらくして目が覚めた。
なんだか頭がフカフカする・・・。
まりあは俺に膝枕をしてくれていた。
もう1度目を瞑った。
なんだか気持ちいいなぁ。
まりあは俺の髪の毛を撫でながら
「こんなにボロボロになって・・・。可哀想だね。光輝くん・・・。」そう呟いた。
俺はその言葉を聞いて、再び深い眠りに落ちた・・・。
辛い時に味わう幸せは格別なんだろうな
いい子なんだけどね・・・いい子なんだけど・・・
仕事しないとです。
それではみんなお疲れ様でした。ノシ
おつかれっさま!
しかしまぁ気になるところでww
おつかれ!
次回の登場を楽しみにしてる
ここで報告というか・・・。
この話随分丁寧に書いてきて
こんなに時間が掛かちゃったけど
早くても3日以内に終わらせようと思ってます。
もしかしたらそれより早いかも・・・。
(もしかしたら3日以上かかるかもww)
もうそろそろ仕事も忙しくなってくるからさ。
でも手を抜いて書くわけじゃなく
俺がピッチを上げようかなと・・・。
(でも基本遅筆なので、期待しないで下さい)
昨日どこかのレスに「創造だから遅いのか?」ってレスがあって
フムフムと思っていた。
普通はそうなのかな?と
でも俺多分、想像ならこの3倍のペースで書く自信があるかな。
元々俺の仕事事態が、脳内から映像にするもので
妄想ならサクサク出てくる状態なんですね。
それを文章にするのは、非常に容易い作業です。
(台本書いている人なら分かると思うが、実話起こすほうが大変)
これはリアルだから、記憶を掘り起こしてくるのに時間が掛かる。
まず時系列を思い出すのに大変。
「あれ?この仕事はこの時期?でもあれは、この仕事の前だったはず・・・
そうすると待てよ?もう寒い季節だった記憶が・・・。でもそれだと・・・」
こんな感じですね。
あと特殊な業界なので、仕事の事情を、他業種の人に解ってもらう
文章にするのは、書いてて思ったけどかなり難しい作業でした。
まあなんにせよ、あと数日で終わると思います。
それまで見てくれたら嬉しいです。
(何度もいうけど、終わらない場合はごめんなさいww)
>>855
おはよう!!
俺らはそれをwwktkしながら見守るだけ。
こうやって書いて自分の気持ちを整理してる部分もあるんだろ?
うん。あるね。
最初は本当に早く終わるつもりで・・・。
でも書き始めると、これもこれもこれも・・・って。
文章にして残しておきたい!って感じで出てきて
その度時系列を思い出して。
残念ながら後になって、これも書いておけば・・・。と思うことも沢山あります。
でも話として時系列と逆行するので
「仕方ないか・・・」って感じでそんな話は
書かずに捨てている状態ですね。
ニノのスレだしニノの好きなように書いていいと思う。
そしておはよう!
今日は外に仕事いくかどうするか
少し微妙な状態なので・・・。
出ないで済むなら、ここ書いていきたいなと
思っています
大晦日。
その日の深夜も俺は会社で仕事をしていた。
さすがに大晦日の夜は誰もいないや・・・。
通常は深夜の時間帯でも
1人か2人は、仕事をしている人がいても、おかしくは無い。
しかし、会社的な仕事納めも既に済んでいて
さすがに大晦日の深夜まで、仕事をしている物好きはいない。
そう・・・。俺以外には。
俺は一息ついて外に出た。
コンビニでカップそばでも買って来よう。
少し寂しいけど、年越しの行事はしておこう。
会社に戻り、カップそばにお湯を注いで、TVのある部屋に行った。
画面では新年のカウントダンウンに向けて盛り上がっている。
薄暗い会社の一室で
1人カップそばの出来上がりを待つ、侘しさが込み上げてくる。
俺は目を閉じて、今年の自分を振り返っていた。
色々あったなぁ。本当に色々と・・・。
おふくろと別れて、初めての1人暮らし。
まりあや油田との出会い。
入社早々に起こしてしまった大チョンボ。
でも川田さんがそんな俺を救ってくれた。
渡辺が隣に引っ越して来て・・・。
そうそう。まりあの誕生日!
あの時は焦ったよ。主役が来ないんだもんな。
でもあの日だったんだよね・・・。まりあと付き合ったのは。
初めてのデートで俺、川に落ちちゃったよ。本当にまぬけ。
次のデートの後か・・・。まりあと初めてキスしたのは。
その後は仕事が忙しくなっちゃって・・・。
そして大晦日の夜に、会社でカップそばなんか食おうとしてるよ・・・。
フーッ。と一つ大きなため息をついて目を開けた。
という賑やかな声が聞こえてきた。
俺は「新年、明けましておめでとうございます。まりあ」と心の中で呟いた。
そしてカップそばをズルズルと食べる。
やっぱりまりあが作ってくれたそばの方が
圧倒的に美味しいなぁ・・・。
ともかく新たな年に突入した。
俺の人生で、最も悲惨な1年がスタートした。
でも、TV業界に人は年越しに仕事はめずらしくないのかな?
>>892
日の出撮影や、中継班は会社出て前乗りしてるね。
まだその人たちは賑やかだろうね
俺は実家に帰る電車に揺られていた。
結局、大晦日から元日は徹夜で仕事をした。
今は朝の6時。
カウントダウンイベントのために徹夜で運行していたのかな?
そう考えると、鉄道会社の人も大変だよね。
忙しいのは俺だけじゃないんだね。
お疲れさまです・・・。
それにしても、みんな笑顔だよね。
初詣にでもいくのかな?
新年だもんな。
みんなウキウキして当然だよね。
こんな疲れた顔をしているのは、きっと俺だけだよ。
そう思うと少し笑えてくる。
俺は電車で約2時間揺られ、実家のある駅についた。
もうすぐおふくろと会える!
そう思うと自然と足取りが速くなる。
実家に到着した。しばらく家を眺める。
俺がおふくろと2人で暮らしていた家。
それは俺が出て行った時となにも変わってはいない。
少し懐かしくて、中に入るのが、なんだか照れくさいような・・・。
そんな不思議な感覚がした。
なんで?
見入ってんだぉ
ごめんなさい。熟読しているのです。
にのは映画観ながらしゃべるのか?wwww
レスすると途中で二宮が気にかけて遅くなったりするじゃん。
だから投下している間は静かにしてるんだとおもうよ
最後近いしみんなでワイワイやっていけたら嬉しいです。
俺もレス返しは極力控えるので
カギは空いていた。
俺は元気な声で言った。
「ただいま~。帰ってきたよ。おふくろ~」
するとすぐに居間の方から
パタパタという足音と共に、おふくろが出てきた。
おふくろ・・・。
なんだか少し懐かしく感じるおふくろの顔。
少しシワが増えたかな?
髪も少し白くなったかもね?
でもその優しい笑顔は何も変わってないね。
「おかえりなさい。光輝・・・。」
そう言ったおふくろの目は、早くも潤み初めている。
「ただいま。おふくろ」
パタパタという足音
チクショー泣けるぜwwwwwwww
なんでおふくろっていっつもスリッパ履いてんだろうな。
「ちゃんとお野菜食べてるかい?母さんは心配だよ。」
「そうそう。お神酒持ってきてあげるから、飲みなさいね。」
「おせち食べなさいね。光輝はカズノコが好きだから多めに作ったよ。」
「あっ!甘いもの食べるかい?お饅頭があったはずなんだけど・・・。」
俺はつい、あははと笑ってしまった。
「いいよ。おふくろもここ座りなよ。一緒におせち食べようよ。」
おふくろは
「そうかい・・・」と言って俺の向かいに座った。
おふくろと向き合って座ると、この家に住んでいた時のことを思いだす。
それは妙に心地良い空間であった。
「光輝少し痩せたねぇ。お仕事忙しいのかい?かあさん心配だよ。」
俺の顔を覗き込みながら、おふくろはしみじみとそう言った。
「ん?大丈夫だよ。まだ1年目だし、慣れない部分で少し疲れただけだよ。
来年は後輩も入ってくるし!仕事はもっと楽になるよ!」
俺はおふくろを心配させないために、無理な笑顔を作った。
これは1年目の疲れでは無い。
完全なオーバーワークの疲れであった。
そういって俺は鞄から、お年玉袋を取り出した。
「はい。お年玉だよ。受け取って。」
おふくろは驚いた顔で俺を見ている。
そして「子供からお年玉なんか貰えないよぉ。」と言った。
「いや。受け取ってよ!俺就職が決まった時にね。
お年玉をおふくろに渡すのが夢だったんだ」
俺の言葉を聞いたおふくろがポロポロと涙をこぼした。
俺はそんなおふくろの手を取って、そっとお年玉袋を握らせた。
「ありがとうね。光輝・・・。」
おふくろは涙声でそう言った。
その後は2人でおせちを食べた。
そうそう!この味だよな!
親父が亡くなって、家がどんなに貧しくなっても
おふくろはおせちだけは必ず作った。
そのグレードを落とすことも、決してしなかった。
そこには貧しいなりに、おふくろの意地を感じた。
おせちを食べたあと、俺はおふくろの肩を揉んでいた。
おふくろの肩を揉むのも随分久しぶりだよな・・・。
物思いにふけっていると、玄関がガラガラと開く音がした。
「明けましておめでとうございますーーー!!おばさん勝手に上がるよーーー!!」
懐かしいその声・・・。
それは俺の親友、悟の声だった。
orz
同意
勝手知ったる幼馴染の家・・・ってやつか。
居間に入ってきた悟。
「おばさんおめでとーー。これ日本酒だよーー・・・」
俺の存在に気がついた悟が、驚いた表情で固まる。
「なんだよ!光輝!!帰ってたんかよーーー!!!」
相変わらず声のデカイやつだ。
俺の幼馴染であり、親友である悟はハッキリいってイケメンである。
身長も180cmあり、色黒でシャープな顔立ち。
速水もこみちにそっくりだ。
しかも社交性も抜群にあって。
スポーツ万能。趣味で3on3なるバスケもやっている。
職業はフリーターだが、全国の色々な場所を旅する
自称「自由人」である。
もちろん俺がコイツに勝てる部分は、外見でも内面でも1つもない。
きっとニノさんが一人暮らし始めた後も、ちょくちょく顔出してたんだろうな。
セリフと行動から何となくそんな気がした。
悲しいこと言うなよ。
ここ数日、どんだけの人間が二宮を楽しみに待ってたと思ってんだ(゚Д゚)ゴルァ!!
俺がそう言うと「そうか!そうか!」と言って悟は肩を抱いてきた。
こういう行動がサラリと出来て、なおかつ嫌味がない。
はいはい。あんたは本当にカッコイイよ。
「そうだコレ飲め!高い日本酒だ!おぱさんも飲むよね?コップ3つお願いね」
本当に凄まじい社交性というか・・・。
なんというか・・・。
でも俺のおふくろも、悟のそういう性格は理解している。
根心の優しい、本当にイイ子だといつも言っている。
まさにその通りである。
今日も俺のおふくろを心配して、こうして訪ねて来てくれたのだ。
3人でおふくろのおせちを食べて
酒を飲み、大いに笑った。
やっぱり帰ってきて良かった。
仕事で張り詰めていた緊張が、ほぐれていくのが分かる。
やっぱりここは、俺が1番安らげる場所なんだな。
俺は悟を連れて自分の部屋に行った。
この机で俺は、毎晩勉強をしたんだ。
なにも楽しみが無かった。
来る日も来る日も、それまでの行いを贖罪するかのように
勉強ばかりしていた。
俺は悟と再び日本酒を飲み始めた。
さすがに寝ていないので、酒の回りが早い。
それでも親友と酒を飲みながら話すのは本当に楽しい
ついつい飲みすぎてしまう。
俺は親友に報告した。
「実はさ・・・。俺彼女できたんだよね。」
>>977
2006年ね!
ごくごく自然な話の流れだよな・・・
「マジかよ!?どんな子なんだよ?可愛いのか?何歳なんだ?」
矢継ぎ早に質問をしてきた。
それらの質問に答えながら俺は最後に
「本当に大好きなんだ。こんなに女の子を好きになったの初めて・・・。今度悟にも紹介するよ」
と言った。
それを聞いた悟は
「んじゃ正月が明けたら、光輝ん家行っていいか?俺バイト辞めたばっかでヒマなんだ。
しばらくホームステイさせてくれよ!お前の住んでいる土地もブラブラしてみたいしさ。」
俺は気前良く言った。
「好きなだけいていいよ!俺は忙しいけど
他にも油田ってヤツとか、渡辺ってのがいて楽しいぜ!まるで下宿みたいだよ。」
そして俺は、酒に潰れてとうとう眠ってしまった。
「明日には帰らなきゃ・・・。仕事しなきゃ・・・。」
そんなことを考えながら。
意識が遠のく中で
悟がそっと布団を掛けてくれた記憶がある・・・。
居候とか絶対にらめえええええええ
わかっててもこれ以上は書けない・・・