865 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 18:41:04.86 ID:iczPdPDXO
Part34
ガタン
?『こんばわ、花輪くん。私の置いた手紙の謎は解けたようですね。』
花輪『…!先生!?隣りにいるのは、まるお君!?』
先生『三日ぶりですね。遠足は楽しかったですか?』
花輪『何をいってるんだ!貴方がのろじゃないのかい!』
先生『ここに辿り着いたことは褒めましょう。しかしそれでは70点ですよ。』

866 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 18:42:08.77 ID:iczPdPDXO
花輪『70点?』
先生『まぁ合格点ではあります。しかし"のろ"の意味する言葉までは分かっていないようですね。』
先生『NORO、つまりNo offend Real origin.この言葉を並び変えると"罪無き真の起源"という意味になりますね。』
花輪『真の、起源?』
先生『全ての出来事には起源があります。しかしその発生に罪はありますか?いえ、起源の本質は無罪です。全ての物事は根本的な起源の上に成立つ事象に過ぎないのですから。』
870 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 18:43:55.03 ID:iczPdPDXO
先生『いやはや、みなさんは予想以上でしたよ。人を食べるようになった山田君、恐ろしい身体能力を身に着けたさくらさん、そしてここたどり着いた花輪君。素晴らしい成果だ。』
花輪『まってくれ!みんなに何をしたんだ!?』
先生『君は勘違いをしてませんか?私は何もしていませんよ。極限状態の中で、彼らが本当の自分を見つけただけです。』
花輪『本当の、自分?…』
877 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 18:48:24.69 ID:iczPdPDXO
先生『文明があるレベルに達した時、自らを破壊していく性質をもっているのと同じですよ。』
先生『彼らは度重なる極限と生死の狭間で、自我を破壊しそして自らを起源へと還元したのです。遥か昔、人類発生のその起源時点まで。』
先生『生まれたままの本能で動く者に、罪はありません。ただ心に従い、殺戮衝動を繰り返し、終わりを繰り返すのです。』
花輪『黙れ!それは間違っている…規則やルールがあるからみんな生きてるんじゃないか!貴方も僕も!』
先生『それは貴方が社会に洗脳されているだけです。』
花輪『!?』
880 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 18:52:05.51 ID:iczPdPDXO
先生『規則や法律など文明の発展に伴う矛盾要素でしかありません。文明の発展を促し、そして人類の本質の発達を抑制する一種の指標でしかないのです。』
花輪『!?』
先生『考えてもみてください。人類の歴史は殺戮の歴史です。死者の上に死者を重ねた死の螺旋。非常に不安定な死者の山なのです。そしてその頂に君は立っている。まるで君の存在自体が人類の叡智を比喩しているようだ。』
884 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 18:54:16.12 ID:iczPdPDXO
花輪『何を言ってるんだい!僕は人類の叡智でもなんでもない!貴方のクラスメイトさ!』
先生『熱くなるなんて花輪君らしくないですね。さぁ、"のろ"を知った今貴方は一体どうしますか?』
花輪『この装置を止める!そしてみんなを解放する!たとえ四人でも、その命を救うんだ。』
先生『四人?おやおや、まるお君を含んじゃいけませんよ。』
花輪『なぜだい…?』
先生『勘違いしないでください。まるお君は最初から"こちら側"の人間です。』
888 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 18:56:37.15 ID:iczPdPDXO
花輪『…そうなのかい?まるお君?』
まるお『ずばり、そうでしょう。』
花輪『じゃあその首輪は…』
まるお『もちろんダミーです。』
花輪『!?』
花輪『なんてことだ…しかしあの装置を止めなければならない、電波を遮断して首輪を外さなければ。』
先生『そういう訳にはいかないのです。』
891 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 18:57:54.24 ID:iczPdPDXO
花輪『なぜだい!?そこをどいてくれ!』
先生『貴方にそこまで教える義理はありません。さぁ、帰って殺し合いの続きをお楽しみください。』
花輪『いやだ、そこをどけ。』
ヒデ爺『お行きなさい、坊ちゃま。』
900 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:00:46.07 ID:iczPdPDXO
ヒデ爺『この西条ひでじ、あらゆる主人を点々と移り変わってきました。しかし坊ちゃまに会ってから世界が変わったのです。坊ちゃまと初めて会ってからの数年間、おおいに楽しませていただきました。執事でありながらこれ程の幸せを味わえた主人は貴方が初めてなのです。』
花輪『ヒデ爺…』
ヒデ爺『それに、まってる女性方がいるではありませんか。彼女達を止めるのは坊ちゃまにしかできないことです。』
ヒデ爺『主人に物を頼む私は執事失格かもしれません。しかし、それが最善だと感じた故の決断です。』
902 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:02:55.16 ID:iczPdPDXO
ヒデ爺『この老いぼれの最後のお願いです。どうかここは私めに御任せください。』
花輪『…分かった…任せたよ。でも一つお願いがある。』
ヒデ爺『?』
花輪『必ず生きて家に帰ることだ。』
ヒデ爺『坊ちゃま…』
ヒデ爺『かしこまりました。』ニコ
花輪『僕は行くよ。家に帰ったらまたグラスを交えよう!必ずだからな!』
さっ!
ヒデ爺『はい、いってらっしゃいませお坊ちゃま。また会いましょう。』
ヒデ爺(いつか、どこかで。)
まるお『逃がしませんよ!』
さっ!
906 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:05:42.17 ID:iczPdPDXO
たまえ『きゃあああ!』
たまえ『まるちゃん!それ…』
まる子『あはははぁあw邪魔なんだよwどいつもこいつもww』
まる子『あんたもこうなりたいのかいwけっwけっw』
908 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:06:56.25 ID:iczPdPDXO
たまえ『やだ…やだよ…ダメだよまるちゃん…!』
たまえ『そんなまるちゃん嫌いだよぉ!』
―嫌いだよぉ―
―嫌いだよぉ―
―嫌いだよぉ―
まる子『ぅうぅ…あああああ"』
909 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:07:30.08 ID:iczPdPDXO
―どいつもこいつも、じゃまだ、あたしの邪魔をする―
―消えちゃえ消えちゃえ消えちゃえ消えちゃえ消えちゃえ消えちゃえ―
まる子『あああああ!』
たまえ『もぅいいじゃない…やめようよ…一緒に帰ろ?』
―一緒に帰ろ―
―一緒に…2人で―
―あたしは―
―本当の―
912 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:09:14.60 ID:iczPdPDXO
まる子『あああああ』
シュン!シュン!シュン!
たまえ『きゃあああ!』
まる子『ぜぇ…ぜぇ…。あんたがいるから…あんたがいるからぁあああああ!』
たまえ『ダメ!まるちゃん!』
まる子『殺してやるぅううううう!』
たまえ(怖い…やだ…足がすくんで動かない…。)
913 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:10:36.82 ID:iczPdPDXO
花輪『はぁ…はぁ…もうすぐだ。あの部屋のモニターで確認できたよ、穂波君とさくら君はR-1の東にいる…急がなきゃ。』
まるお『逃がしませんよ!』
ダン!ダン!
花輪『危ない!銃弾!?』
花輪『すまないけど、君にかまってる暇はないんだ。』
シュン!
ばしっ!
まるお『あーれー!』
花輪『携帯が頭にぶつかっただけで失神か…なんてひ弱なんだい。これじゃレディーはついてこないよ。』
花輪『よし、急ごう!』
3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:21:19.47 ID:iczPdPDXO
ヒデ爺『そこを通してもらいますよ。』
ヒデ爺『みたところかなりの腕前のようですな。一つお手合わ願いましょう。』
先生『望むところです。』
先生『しかしこれで装置に傷が入ってはこまります、屋上へ行きましょう。』
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:21:42.24 ID:iczPdPDXO
すた、すた…
ヒデ爺『これでも私は空手四段、柔道五段、英検一級、エネマグラ検定二級、テコンドー二段、クラブガマ黒帯をもていましてね。』
すた、すた…
先生『奇遇ですね私も空手四段、柔道五段、英検準一級、エネマグラ検定二級、テコンドー二段、クラブガマ黒帯をもっていますよ。』
ヒデ爺『おや、この勝負、英検0.5級分私に分がありますね。』
先生『勝負はやってみないとわかりませんよ。ふふ。』
すた、すた…
13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:29:25.60 ID:iczPdPDXO
先生『屋上です。さぁ、始めましょうか。』
ヒデ爺『いざ…』
先生・ヒデ爺『参る!!!!』
ばしゅっ!
ヒデ爺『高い!』
先生『もらいましたよ。』
先生『そぃやあああ!』
ヒデ爺(そして速い!)
ヒデ爺『とぅああ!』
ドゴン!
ヒデ爺『ぐ…なんという力…』
先生『そぃやあああ!』
ばしっ!
ヒデ爺『ぐぅああ!』
先生『サーッ!』
19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:34:20.96 ID:iczPdPDXO
先生『おやおや、英検0.5級分の力はその程度ですか?』
ヒデ爺(…からだが思うように動きません…さすがに手強いですね…。)
先生『はは、貴方はパワー、スピード、反射全てが素晴らしい。しかしお体がついてこれてませんよ。』
ヒデ爺(くぅ…このままでは)
21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:37:22.53 ID:iczPdPDXO
先生『そおいいやぁあああ!』
ヒデ爺『ぐぶあっ!』
先生『私と貴方の年齢差から生じる、力の差は英検何級分ですかね?』
先生『3級?5級?10級?…否、100級くらいですかね!』
ばしっ!
ヒデ爺『ぁあああ!』
23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:39:28.91 ID:iczPdPDXO
ヒデ爺(坊ちゃまの為にもここは負ける訳にはいかないのです!)
ヒデ爺『とぅああ!』
先生『そぃやあ!』
ばしっ!ばしっ!ばしっ!
ばっ!ばっ!ばっ!ばっ!
ヒデ爺『とぅとぅとぅとぅとぅ…!!』
先生『そぃそぃそぃそぃそぃ…!!』
ヒデ爺『とぅああ!らぁあああ!!!!』
先生『そぃやああ!さーっぁああ!!!!』
ドゴーン!
27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:41:19.57 ID:iczPdPDXO
まる子『ぁああああ"!あんたなんか消え"ちゃえ"え"!』
たまえ(ダメ…動いて…動かなきゃ。まるちゃんがこんなに近くにいるんだ…もうちょっとなんだよ…)
たまえ(止まってちゃダメ…踏み出さなきゃ、強くならなきゃ…)
たまえ(あと一歩なんだ…あと一歩踏み出さなきゃ、まるちゃんに届く一歩を…。差し延べなきゃ…まるちゃんを抱き締める手を!)
28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:43:13.39 ID:2DKX6wh/0
>ヒデ爺『とぅとぅとぅとぅとぅ…!!』
>先生『そぃそぃそぃそぃそぃ…!!』
そろそろスタンド発動くるか?www
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:43:27.35 ID:iczPdPDXO
ヒデ爺『はぁ…はぁ…』
先生『はぁ…はぁ…』
ヒデ爺『この戦いの目的は…一体…』
先生『人類の再生ですよ…。』
先生『文明に埋もれ、本質を失った人類を…再び蘇らすのです。』
ヒデ爺『それが一人や二人ではどうにもならないでしょう。』
先生『貴方は知らない、今も世界中のどこかでこの戦いは起こっている…毎日毎日。世界は望んでいるんですよ。人類の再生を、真の起源への還元を。』
30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:44:53.81 ID:iczPdPDXO
ヒデ爺『なんと…!このような惨たらしいことが毎日、今もどこかで…』
先生『古代にはスパルタという王国がありました。弱い者は死に、強き者が生きる国です。最後に残ったわずかな精々達は、自分たちの百倍はくだらないであろう軍勢をまたたくまになぎ倒しその地位を絶対のものにしたのです。』
ヒデ爺『しかしそこもいずれは滅びました。大勢人の人がいてこそ、世界はバランスを保てっているのではないですか!』
31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:45:31.98 ID:iczPdPDXO
先生『何をばかなことをおっしゃいますか、いつの世もいつの時代もこの世界を変えて来たのは一握りの人間だけです。残りの人間は強き者に付き従ってるだけです。』
ヒデ爺『それは…』
先生『貴方もそうでしょう。主人に這いつくばって生きている。そうでなければ自分の価値を見出だせない!そうでなければ生きられない!違いますか!』
ヒデ爺『!!』
34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:47:31.97 ID:iczPdPDXO
ヒデ爺『くぅ…。』
先生『反論できないようですね。』
先生『貴方も所詮は小さき者、我々の世界創世には必要ない存在なのです。』
先生『さよならです。』
先生『そぃやああああ!』
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:48:28.01 ID:iczPdPDXO
花輪『残り15分!!急がなきゃ!速く!もっと速く!』
ダッダッダッ!
花輪『はぁ…はぁ…無事でいてくれレディー達!』
ダッダッダッ!
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:52:34.30 ID:iczPdPDXO
―あたしゃまだ眠いよ―
―まるちゃん…ぅうぅ―
―あれ…誰だろ?女の子みたいだね…―
―ぅわわわん!―
―泣いてるのかい…?―
―ぅうぅ…グスン…まるちゃん―
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:55:05.18 ID:iczPdPDXO
―あたしを呼ぶ声がする―
―懐かしくて…凄く優しくて…暖い声―
―あー思いだしたよ。あの声だ…あたしの大好きな友達。一番掛け替えのない友達だよ。―
―た…ま―
―――
――
―
44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:56:18.32 ID:iczPdPDXO
ヒデ爺『とぅああ!』
ばし
先生『まだ逆らいますか。』
ポツ、ポツ、ザー!
先生『おや…雨ですねぇ。そろそろ決着をつけますかね。』
ヒデ爺(坊ちゃまこの西条ひでじめが命に変えても使命を果たしてみせます!)
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:57:08.82 ID:iczPdPDXO
ヒデ爺『とぅあっ!』
先生『そぃやっ!』
先生(重い…!)
ヒデ爺『らぁああああ!』
先生『くぁああ!』
ばしん!
先生『あのからだのどこにそんな力が…』
ヒデ爺『まだまだ行きます!』
ヒデ爺『とぉうああ』
ズゴ!
ヒデ爺『とぅあああ!らぁあああ!』
先生『ぐふっ!』
先生(なんて…強s)
ばし!
先生『く…っ!』
47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:58:42.78 ID:iczPdPDXO
ヒデ爺『雨の筋一本の隙間に見えるわずかな間隔…水滴と水滴の間に貴方には見えない微かな死角があります。だてに長生きはしてませんよ。』
先生『まだです!』
先生『そぉおぃややぁああああ!』
先生『さぁああああああーっ!!!!』
ばし
先生『何!?っつくあああああ!』
先生(まずい!電線が!)
バチバチバチバチ!
先生『ぁ…ぁ…』
ヒデ爺『受け流し、そして、その力を返す。小さき者が大きな力を制する事もあるのです。私は何度もみてきました。』
48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 19:59:36.18 ID:iczPdPDXO
先生『貴方は…一体…』
ヒデ爺『私ですか?これまで数々の主人の家を点々と移りながら、ボディーガード、そして暗殺任務をこなしてましてね。ははは、何年も前のはなしですよ。』
先生『どおりで…。』
バタン
53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:01:47.35 ID:iczPdPDXO
Part Final
まる子『…たまちゃん…あたし…ごめんね…ごめんね…』
たまえ『まるちゃぁああん…いつものまるちゃんだ…良かった…良かったよぉ…』
たまえ『ぅああああん!まるちゃん!まるちゃん!』
―たまちゃんは雨の中でもハッキリ分かるくらい泣いてたんだ―
まる子『たまちゃん!スゴイ血でてるよ!』
たまちゃん『はは…このくらい大丈夫だよ。』
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:02:43.47 ID:iczPdPDXO
たまちゃん『それよりもまるちゃんが元に戻って嬉しい。嬉しいよぉ…。ぅわわわん!』
まる子『よしよし…ごめんね…』
まる子『ぅうぅ…ぅわわわん!』
―泣いたよ。いっぱい泣いたよ。キットこの雨よりいっぱい。―
―それは二人の中だけでしまっておける宝物みたいな時間だったさ。―
62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:04:16.05 ID:iczPdPDXO
―そりゃあ、幸せだったさ。―
―生きて来てこんなに幸せと思ったこたぁないねぇ―
―でもねぇみんな、終わらない休み時間は無いんだよ。チャイムは必ず鳴るんだよ。―
67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:06:54.28 ID:iczPdPDXO
花輪『いた!良かった!二人とも無事だ!』
テーテーテーテー♪テーテテテテテテテー♪
花輪(G線上のアリア!あぁ、でかしたぞヒデ爺!)
花輪『レディー達!』
まる子・たまえ『花輪君!』
花輪(響き渡るG線上のアリア、静かな雨の音。2人の美しいレディー。)
―あぁ…僕は今奇跡を見ている―
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:09:45.60 ID:iczPdPDXO
カシャッ
まる子『あれ?首輪が…』
カシャッ
たまえ『やったぁあ!外れたよ!』
―あぁ…助かった。やっよ。やったよー。―
―そう、思った刹那、背後に寒気が走ったんだ―
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:14:06.39 ID:iczPdPDXO
まるお『やっと追いつきました!許しませんよぉ!』
ドン!!!!
花輪『!!』
―僕の中で雨や音楽、全ての音が無くなった―
91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:19:26.79 ID:iczPdPDXO
―それは余りに一瞬の出来事だった―
―あの瞬間、僕は首輪が外れた衝撃で下に重心がずれて、転んだのさ―
―転んだ僕の上を光り輝く鉛の塊が飛んでいった―
―その輝く欲望の塊は、木の枝を貫き、、雨を突き抜けて、主人の使命のままに真直ぐ飛んでいった。―
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:21:11.43 ID:iczPdPDXO
パリンッ
―何かが砕ける音がして、僕は顔をあげたんだ。―
―ねぇ、そこになにがあったと思うかいベイベー。―
104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:24:24.29 ID:iczPdPDXO
まる子『…ぁ…あぁあ…』
たまえ『…』
―銃弾は、カメラのレンズを貫いて、穂波君の心臓を貫いていたのさ。―
―さくら君は朝焼けの空に声にならない悲鳴をあげていたね。―
―レンズの砕ける音は穂波君の命の声と同時に、さくら君の中で何かが砕け散ったことを僕に伝えていた―
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:26:34.23 ID:iczPdPDXO
―気がついたら僕はまるお君を殺していたんだ。―
ドスッ!
―地面に押し付けて―
あああああ!!
ドスッ!ドスッ!
―何度も何度も殴って―
…
―気がついたら、彼は死んでいた―
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:29:10.67 ID:iczPdPDXO
―そしたらすぐに誰かの声がして空を、空を見たんだ。―
―ちょうど雨が上がって、綺麗だった。グランドキャニオンより壮大で、ベルサイユより美しくて、レイセンスよりも透き通った朝焼けの空だったさ。―
―するとね、空が光始めたんだ。―
130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:33:32.29 ID:iczPdPDXO
―大きな大きな警報がなって―
―気がつくと、僕らはヘリに乗っていた―
―僕にはそれが、僕らを新しい世界に連れて行くノアの箱船にみえてしかたがなかった。―
136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:35:25.90 ID:iczPdPDXO
キートン『そして昼』
―昼頃になって、僕らは無機質な白い部屋で目覚めた。―
花輪『…警察…?』
―運がいいことにまるお君の件は僕のせいにはならなかった。その日の夜には警察所を出れたよ。家ではヒデ爺やメイド達が明るく迎えてくれたさ。―
―その日は花輪家始まった以来の大パーティーだったね、いい夜だったよ。―
―さくら君かい?あぁ…彼なら―
144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:37:44.05 ID:iczPdPDXO
―20年後―
アナウンサー『今日お昼すぎ、ついにあの大量殺人事件の犯人が出所しました。しかし犯人はずっと口を紡いだままで、20年間一言も言葉を発してないそうです。専門の学者さんにきいてみましょう。』
医者『彼女の症状は酷い精神的なショック状態です。おそらく20年しても取り払えないほどのトラウマがあるのでしょう。』
146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:38:03.05 ID:iczPdPDXO
まる子母『おかえり!』
―バレバレの作り笑顔で家族は優しく迎えてくれたみたいだ―
まる子姉『あんた…久し振りだね。』
まる子『…。』
まる子母『お巡りさんが一度も面接させてくれなかったから、母ちゃん心配したよ。』
まる子『…。』
152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:39:19.63 ID:iczPdPDXO
まる子母『よーし、今日はご馳走だ!母ちゃん頑張って作るよぉ!』
まる子母『野菜を千切りっと♪』
トントントントン
まる子母『そうねぇお肉付きのサラダなんてどうかしらぁ。』
スタ
まる子母『あれ…まる子?いたのかい?』
163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/09/28(日) 20:43:21.28 ID:iczPdPDXO
まる子母『ぁはは、あんたもお料理したいのね、そうだね、もう大人だもんね。』
まる子『…コク。』
まる子母『包丁は危ないから気をつけるのよ。』
トントントントン
まる子母『あらぁ、あんた上手いじゃない。』
まる子『…。』
トントントントン
ザク
―まる子のバトルロワイヤル・完―